2006年 01月 20日
王座のひみつ #3
#1と#2を読んで、王座の速い訳を徐々に解って来たでしょうか?
今回はそれを忠実に実践してれば良いってモンじゃないんだよ。ってお話です。
雪面抵抗が大きい
写真のライダーは僕でスイマセン。kossie先生に撮ってもらった写真を判り易い様にトリミング・色調整しています。
コレは結構なスピードと斜度でのカービングターンですが、ノーズから雪が押し出されている事で、重心が中央にあり、FボードからRボード全体を使用しているのが判ると思います。
ココではイッパイ倒し込もうと、遠心力をつける為にハンドルを若干内側に切り、ノーズを雪面に押し当て回り込もうとしています。
FボードはRボードより同じ力で同じ弧の撓りは得られません。押し当てている事で荷重以上の圧力を与え、撓りをコントロールしています。その為、雪の押し出される量がRボードよりFボードの方が大きいのです。
ちょっと話はずれましたが、雪が押し出されているという事は、雪面抵抗という減速要素があるという事です。つまり、重心が中央にありFボード・Rボードを使ってライディングするとより多くの抵抗を受けてしまいます。重心を後にしRボードだけで抵抗を受ける方が、確実に減速しにくいのです。
引っ掛かり力と雪面の硬さ
今までに説明忘れていた事がありました。
マシンコントロールは、ライダーとスノースクートから掛かる力を、エッジを雪に引っ掛け向きを変える事によって行います。つまり、効率良くエッジを引っ掛けられる事が肝です。
引っ掛かけるとは、エッジを雪面に刺し、その僅かな刺さっている部分の雪面で支える事です。その力を支えられるだけの硬く強固な雪面なら、ダイレクトなずれのないコントロールが可能です。
雪面が柔らかいと支えが弱く崩れますが、その分刺さりが深くなり面積が増える事で支えられます。しかし、その分は雪面抵抗となり、崩れた分のずれも生じるのです。
しかし、アイスバーンの様な硬すぎる雪面では、エッジが刺さらなく支える事が出来ずに崩れてしまう事もあります。
重心と荷重
荷重は#2の図の様に重心軸を中心にエッジを通して掛かります。つまり、有効エッジは重心軸の前と後ろが同じなのです。別な言い方をすると、全体の有効エッジは前・後ろのドチラか短いほうの2倍なのです。
有効エッジが短ければ、一定のエッジ長に対する荷重は大きくなります。同じスピード・同じ弧を描いてターンをする場合。後ろ荷重の方が雪面は崩れやすいのです。
荷重と雪面硬さのバランス
荷重を多く掛かけます。荷重が掛かると雪面は崩れます。崩れるとコントロール性が劣り抵抗も掛かります。
では、荷重を最小限に抑えます。雪面の崩れも最小限に抑えられ、抵抗も抑えられます。
今度は荷重を素早く掛けます。雪面は崩れますが、直ぐ崩れ終わり雪面は硬くなります。硬くなると抵抗は少なくなります。
更に荷重を素早く多く掛けます。雪面は一旦崩れ硬くなりますが、それでも支えきれない場合は、更に崩れ抵抗が生じます。
引っ掛かりや雪面抵抗を一定にするには、荷重を常に一定にする事ではありません。要因それぞれのバランスを一定にする事です。
最終的には
コレまで重心が中央と後ろのパターンについてのメリットとデメリットを説明してきましたがドチラが良いのでしょうか?結論から言いますと、使い分けてくださいという事です。
ライディング条件は常に一定ではありません。自然な環境は勿論の事、人工的なコースでも様々な要因で状況は変化していきます。常にそれを感じ取ってバランスを取る最適なコントロール(使い分け)をしましよう。
王座は
王座はこれらの事を全て頭で理解して実践しているかどうかは判りません(多分、理解していると思うけど)。でも、少なくとも体感的には解っているのです。
それには少しでも多く滑り、多くの事を体験し学習し、身に付けましょう。
大雑把にひみつはこんなトコロです。まだ、他にもありますが、別なネタとしてその内説明したいと思います。今回はココまで。お粗末さまでした。
追記@2006/1/23
王座は今年も王座になりました。おめでとう!
Posted at 12:07 in /snowscoot /technic | Permalink | WriteBacks (2) Edit